お気に入りの書籍紹介『インフォメーション―情報技術の人類史』

こんにちは、Gaji-Labo 山岸です。Gaji-Labo Advent Calendar 2014 25日目、最後のエントリとなりました。

最終日を飾るのは、『インフォメーション―情報技術の人類史』です。

ここのところ古い本ばかり紹介してきましたが、こちらは比較的新しい本で、2011年に書かれたものです。日本での訳書は2013年に発売ですが、とにかくページ数が多くて厚みのある、重量級といってよい本です。

いいか悪いかはさておき、章ごとの関連性があんまりないので、章ごとに拾い読みするだけでも全然いけちゃう本だったりします。せっかくなので、先に特にお気に入りの章を挙げておきます。

  • 第2章 言葉の永続性(頭の中に辞書はない)
  • 第8章 情報的転回(心を築く基礎材料)
  • 第11章 ミーム・プールへ(あなたはわたしの脳に寄生する)
書籍写真
すべては情報である

「情報」の捉え方を再インストールする

情報の歴史や情報論を語っているのではなく、情報(それはとても大きな意味合いでのものです)というものを通じて人類史を語っている本なのですが、物理学や数学を背景として「情報」を見つめている点がポイントです。

シャノンの情報理論によって、情報と不確実性のあいだに橋が架けられた。情報とエントロピーのあいだ、情報とカオスの間にも……。(中略)情報処理という概念が生まれ、情報蓄積、情報検索などがあとに続いた。鉄器時代、蒸気時代に替わる時代の呼び名として、“情報”が人々の口にのぼり始めた。

情報理論の考案者であり、情報理論の父と呼ばれたクロード E.シャノン氏の考え方がたくさん出てくるのですが、たとえば情報哲学と情報倫理学の研究で知られるルチアーノ・フロリディ氏の名前は一度も出てきません。そこからも、本書が工学的な立ち位置で書かれた本であることがわかります。

サイト制作などに従事していると、「情報=コンテンツ」という暗黙の感覚が植え付けられているのではないでしょうか。そういった状態で本書を読むと、「タイトルの印象と違うかも…?」と感じる方が多いかもしれません。だからこそ、本書を読むことで「情報」の捉え方を再インストールする体験ができるのではないかと思います。

境目が面白い

先ほどのシャノンやフロリディもそうですが、情報という存在に対して人間は様々な角度からアプローチしてきました。そうして辿り着いた、工学と哲学の境目みたいなところにある概念の問題は、とてもエキサイティングだと感じることが多く、私の関心のかなりの部分が境目のあたりにあります。

セマンティックウェブやオントロジーの考え方もそうですし、人工知能、意識、経験…… 私が関心を持って追いかけているさまざまなものが「境目」にあるなと感じます。

そして、それはすべて「情報」なのです。

すべては情報である

科学が極まっていくと、すごく宗教的になるなぁと個人的には思っています。精神世界の拠り所を科学が啓いていく感じは不思議さがあり、ある意味では16世紀あたりの宇宙観を再度見るような感覚さえ持ちます(16世紀に生きていたわけじゃないですよ)。

生命は情報交換(ネットワーキング)によって繁殖する。人間の身体そのものが、一個の情報処理装置だと言える。脳だけでなく、細胞のひとつひとつに記憶が宿っているからだ。遺伝子学が情報理論とともに花開いたのも、なんら不思議ではない。

リチャード・ドーキンス氏の遺伝子中心視点がメディアなどでも流行った時期がありましたし、DNAなどの仕組みを考えると、あまり違和感なく受け入れられます。

(前略)さらに「すべての物理的な事象は、元来、情報理論的なものであり、われわれが住んでいるのは、“参加型の宇宙”である」と付け加える。そう考えることによって、宇宙全体を一基のコンピューター、つまり壮大な情報処理装置と見なす視点が確立される。

宇宙まで話が広がってくると、わかるようなわからないような。それこそ宗教観のような話になっていきそうです。しかし、科学の目でそれを見ていく面白さは何者にも代え難いです。

情報の一部を、私たちも確実に担っている

もちろん、私たちが私たちの生活の中で、扱いやすい粒度や単位でまとめているなんらかのコンテンツも情報。それらとどう向き合っていくかという話は、それに適したスコープで行えばよいのであって、グローバルメニューを編む時に宇宙のことは考えなくていいと思います。考えてもいいけど。

この世界が情報を燃料に走っていることを、今のわたしたちは知っている。情報は血液であり、ガソリンであり、生命力でもある。

世界をめぐる情報をいうものに、自分は何を乗せているのか。何を燃やしているのか。普段どういう関わり方をしているのか。時折その意識を再インストールすることは、有意義なことなんじゃないでしょうか。

ここ数日で紹介していた、書物・メディア・情報。おすすめの本という体を取りながら、この機会に乗じて自分の興味の本質について紹介してきたような気がします。これからも「情報」について考える仕事をしていきたいと思います。

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投稿者 山岸 ひとみ

主にサービスデザイン案件や新規事業・スタートアップ案件を担当し、サービスデザイナー/プロセスファシリテーターとしてビジネスとデザインが密接な領域で活動。柔軟なプロセス設計を持ち味にして、チームの成果と成長に貢献しています。社内ではメンバーが健康に働ける環境の整備やひとりひとりの成長のためのしくみづくりなどを担当。おいしいコーヒーを買ってくる担当もやってます☕